《MUMEI》

「…来いよ。泊めてやる」
(えぇ!?)
 彼は暫しの沈黙の後、口を開いた。
「ここから交番に行くのは遠いし、放っておけば“喰われる”し、連絡したいが携帯電話使えないし」
「っ!!?」
(知らない人の家に…!?)
「嫌なら…彷徨ってればいい。キミの安全は保障できない。…どうする」
 知らない人に泊めてもらうか、さっきみたいに襲われたいか、2つに1つ。知らない人と居ることになるのには変わらない。
「…行ってもいいですか?」
 野宿より彼の家の方が安全、そうだと信じて。
 彼はゆっくり頷いた。
「…すぐに着くから」
 彼は自宅に向かって歩きだした。
 カナは彼に付いて行くことにした。


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