《MUMEI》
方法。
殖野八雲。
僕は彼女と決着をつけねばならない。
平穏のため。
世間体のため。
なにより僕自身の命のため。
………………下手したら本気で刺してきそうなんだもんなぁ。
彼女が僕と同じ学校に通っているところまでは判明している。
だけど、学年とクラスまでは知らない。
ならば、本人が僕の前に現れるまで待つか?
そうはいかない。事態は深刻だ。迎え撃つのではなく、こちらから攻めるべきだ。
だがしかし、広い学校のどこを探せばいいのだろうか。
「いや、簡単じゃね?」
硬本が意見する。
なにもなかったようにまた考え始める。
先生に聞いてもみたが、教えてくれなかった。
一体どういうつもりだろう。
「おい、聞けよ」
「………………………………なに」
「嫌そうな顔すんなよ。やりたくないのはわかるけどさ」
硬本が言いたい事は理解している。
だがその方法は……効率悪いし、更に変な噂が流れる危険性がある。
「手段を選んでいられる場合じゃねえだろ?」
そ………………そうなのだ。
自分の命のために行動すると決めたはずだ。
覚悟を決めろ、僕。
「うん、よっし!やってやんよ!」






方法は単純だ。
学校内のクラスを順に一つ一つ訪ねるだけだ。
こういうのをしらみ潰しと言うんだね。初めて使ったよ、僕。
「ごめん、ここに殖野って子、いる?」
一年A組の子に尋ねるが、首を横に振る。
ちぃっ、外れか!
「そっか、ありがとう」
お礼の言葉を述べ、次のクラス、B組へ。

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