《MUMEI》 拒絶。殖野さんの瞳は揺れ、やがて涙を流す。 それでも精一杯、笑顔だった。 不覚にもドキリとしてしまった。 「晴斗さんは千雨ちゃんと付き合ってて……ぶっちゃけノロケ話になった時は刺そうかと本気で考えましたけど……ダメでした」 あ、あああ危ないなこの子!!っていうか千雨うう!自殺行為はやめなさい!! 「でも千雨ちゃんは親友で………………そんなことできるわけがありません……。親友から大事な人を盗ることも……できません」 ちょっと待とう。そういう話は僕のマウントポジションを開放してからでもいいのではないだろうか。というか開放してくれ。 「………………だから、安心してください。ちゃんと私はあなたを諦めますから」 安心できないよ!?さっきから言葉と行動がミスマッチ過ぎる!! 殖野さんの体がカタカタと小刻みに揺れていて、心臓の鼓動も強まっている。 「だから今日この時間だけでいいんです。思い出を私に………………ください」 「いや、だからってこれはアカン!!」 千雨の親友を襲う?アホか!そんなことできるわけがない。 不意に僕の顔が殖野さんの両手に覆われる。とても温かい。 そして、キスをされた。 「んん!?」 問答無用に殖野さんは舌を入れる。 「ッ!?」 口の中に何かを入れられた!? 殖野さんの唾液が僕の口の中で交わる。反射なのか本能なのか、生暖かい唾液を僕は飲み込んだ。 それが約5分ほど続いた。ようやく離れると、照れたように顔が赤かった。 そして自分のシャツをゆっくりと時間かけながら脱いでいく。 あれ……?なんで僕は止めないんだ?というか体が熱い。意識が朦朧としてきた。血液が僕の下半身にある僕のアレに集結していくような感覚がする。 こ、これは……一体……。 ついに殖野さんはスカートとリボンのみ着用しているというとてもマニアックな格好となった。 露になるおっぱいに何故か僕は目が離せない。しかも僕は自然と、完全に無意識にそのおっぱいを鷲掴みにし、逆に押し倒すような体勢になった。 ダメだ……。これ以上はダメだ……。 頭では理解しているのに、体が勝手に動くようだ。 「まさか………………さっきのって………………」 「媚薬です……。晴斗さん、良いんですよ?」 そう言いながら、包むように僕の首に手を被せた。 「私を………………めちゃくちゃにしても」 その言葉を聞いた途端に、頭が真っ白になった。 まだ成長途中であろう胸をがむしゃらに掴み、もう片方の手で乳首を摘まむ。 頭がどうにかなりそうだ。抗うことが…………できない。 流れるままに殖野さんの喘ぐ唇に、僕は顔を近付けていった。 だが、脳裏に一瞬、千雨が写った。 僕は一体…………なにをしている? 「だ、ダメだ!!」 ガバッと立ち上がり、その場からひとまず撤退。跳び箱の裏に隠れる。 「晴斗さん?」 「や、やっぱり僕にはできない!千雨を裏切ることなんてしたくない!」 前へ |次へ |
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