《MUMEI》

「ゴッド・アイ....必ず滅ぼす」


ダイスケは再び呟くと部屋の外に消えた。
戻った時には大きなバスタオルを、手に持っていた。


「もう大丈夫だよ、アヤ....」


優しく喋りかけながら、娘の顔や髪に付いた赤い液体を、バスタオルでぬぐってやる。


アヤは放心したように、父の為(な)すがままに身を任せている。


やがてダイスケは娘を軽々と抱き上げると、そのまま右脇に抱えこんだ。


「許してくれヨーコ....」


妻の屍の側を通る瞬間悲しげな視線を注ぐと、そのまま意を決したように、
外の雪嵐の只中へと飛び出した。

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