《MUMEI》

写真には、カフェバーの前に佇(たたず)む父ダイスケの姿が写っている。
以前より痩せた感じで、カメラに向かって疲れたような微笑みを浮かべている。


アヤは写真と交互に見比べながら、折り畳まれた手紙を開き、読み始めた。


『前略 愛するアヤへ


その後、元気に過ごしているかい?


修道院の友達とは、仲良く付き合っているかな?


離れて暮らしていても、パパの心はいつもアヤの側にいる。


パパは今、「無銘国」とゆう国に滞在しているんだ。


「ジパング」の「死国」をひとまわり大きくしたくらいの、世界でも1番目か2番目かとゆう、小さな国だよ。


パパはこの国である人物と出逢い、とても興味深い話を聞かせてもらった。


アヤは五年前に、修道院でパパが別れた時に言った事を憶えているかい?


「神のペン」を見つけて必ず戻って来ると....。


「神のペン」について、パパがこの人物から聞いた情報は、非常に信憑性の高いものだ。


パパはこれからさらに西へ向かおうと思っている。


そして今度こそ「神のペン」を見つけて、アヤの事を迎えに行くよ。


その時、バラバラになったパズルのピースが在るべき場所にはまるように、パパとアヤの望むものが手に入るだろう。


完成したパズルには、パパとアヤとママがいるはずだ。


笑顔の三人がね。


その日も遠い事では無いはずだから....


だから待っていておくれ。


ダイスケ』

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