《MUMEI》 叶人と目の前の彼「さっきキミが叫んだ“叶人”というのは“若月叶人”のことか?」 (叶人さんの本名は“若月叶人”…だった) あの日、見せてもらった文書には、そう、叶人の本名が記されていた。 「そう…、です…」 「ってことは、キミは“甘月”なんだ?」 「はい…」 「叶人から話は訊いていたから」 〜〜〜♪♪♪、〜〜〜♪♪♪ 「ったく、誰だよ」 彼は吐き捨てるように言って、着信に応える。 「もしもし…」 『かなたーーーーーっ!!!!!』 やけに大きな発信者の声。 (どこかで聴いたことあるような…?もしかして、叶人さん…?) 「何?テレビ電話なら叫ぶ必要なんて、無いだろうが」 『大変なんだ!』 「なんだ」 『カナが、飛び出して行って、どこに居るかわからないんだ!俺の所為だ…。頼む、カナを探してくれ!』 叶人の切羽詰まったような声。 (カナのこと、探してくれているの?) 「“カナ”って誰?」 『すまない…、甘月先生のことだっ!』 「彼女ならここにいるが」 彼はカナにタブレット端末の画面を向けた。 「…アイツのことか?」 『間違いない!今からそっちに行くからなっ!!!』 ―――ブチっ。…………。 「あの…」 「なんだ」 「貴方と叶人さんとの関係って…?」 「アイツとの関係?それは……… 前へ |次へ |
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