《MUMEI》 叶人の前職「ホストだったのさ。当時働いていたホストクラブで初めて叶人を指名したのが彼女だった」 (ホスト………?初めて指名した人…?) 自分を抱きしめた男は、今までに他の女性に触れてきたというのだろうか。 (信じられない。信じたくない。けれど…!) 彼方の射抜くような眼差し。それが事実だと告げているようだった。 ―どんっ。 「っ!!?」 「…っ!!!」 カナは叶人を突き放した。 「叶人さんなんか、もう知らないっ!!!」 (純粋に叶人さんを信じていたカナは馬鹿だった) ―男を簡単に信じてはいけない。 カナは叶人を通して、初めてそう知った。 「カナ!どこへ行く!?」 叶人に腕を掴まれた。 「嫌だ!離して!」 叶人の力に適わないと判っていても、彼の手を必死に振り解こうとする。 「その手で他の人にも触れて来たんでしょ!」 叶人がカナの言葉に対して、呆気にとられたのか、彼の手の力が抜けた。その隙にカナは彼の手を振り解く。 「どこに行くんだ」 カナは彼方を無視してその部屋を出た。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |