《MUMEI》
彼の監視役
とてもキレイな彼の声に
おもわず うっとりしてしまった。

私は ハッとなって
とっさに答える。

「あ…えっと、そう!ここは妖狐村って言って人間界と妖界の間にある村なの」
彼は私をじっと見て、

「やっぱり…ホントに来ちゃったんだ…」


俯きながら そう言う。

私は 彼に訪ねる。

「なんでやっぱりなの?ホントにって…」

そう言いかけた瞬間…

(あ…そっか)

誰だって、名前も知らない人にわけをべらべら言わないよね…

私は彼に、自分のことを明らかにした。

「私は好音!人間界への入口の門番なの」

彼は私をじっと見る。
とてもビックリしている。
私はそのまま続ける。

「えっと…うまく言えないけど…」

私は彼を真っ直ぐ見る。

「私達、まだ会って間もないでしょ?だから、あなたが聞いてほしくないことなら何も聞かないよ。」


しばらく 沈黙する。


「…ありがとう」

彼は口をひらく。


「確かに、俺も名乗ってすらいなかったね。俺は健志っていう者だ。」


「健志……呼び捨てでいい?私も好音でいいから」


そう言うと、彼は

「うん…えっと、好音。少し聞いていい?」

私が頷くと、


「俺は人間界で嫌なことがあって、無我夢中に森の方に走ったんだけど…気付いたらこの村に来ちゃったんだ。なんか所々こわい人がいたから、また森の中に入ったら…後ろから音が聞こえて……」


そこで、一旦 話は途切れた。

「そこらへんから記憶がないんだけど…」


(やっぱり…健志は妖怪に襲われたんだ。背中に傷もあるし)

健志の背中には
少し深い傷ができてる。
森の中で見つけたときに 妖怪にやられたのだろう。
すぐにでも治してあげたいのだけど、私は 傷を治す類の術は使えない。

村人の中にも 傷を治す術を使う妖怪はいない。


健志は多分 この村に
しばらくいるだろう。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫