《MUMEI》

健志が 妖狐村に来てから 数日経った。

村の皆は 健志の事情を理解してくれた。


…だけど…


健志を監視するのは
相変わらずだ。

村の皆は まだ 健志を
疑り深く見ていたらしい。
(仕方ないよね…)

だって、妖狐村の人達は
人間界でも妖界でも
受け入れてくれなかった、言わば異端者だもんね…

私は生まれたときからずっとこの村にいて、外の世界を知らない。

けど…皆は外の世界で
沢山嫌なことを経験しているから 新参者をなかなか 受け入れない。


(根は良いひと達ばっかりなのに…)


と、私が考えていると
健志が私の顔を覗きこむ。
「どうしたの?何か考え事してる?」

「ああ、何でもないよ!」
私は すぐさま 笑って
ごまかす。


私は村の皆と違って外の世界で沢山嫌なことを経験したわけじゃないから
わりとはやく 健志とは
仲良くなった。

皆みたいに 疑り深く考えるのは めんどうだから、 私はいつも通り。


「ところでさ、俺、まだ外に出ちゃいけない?もう傷の痛みは治まってきたんだけど…」

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