《MUMEI》
オレの日常〜鼻血が止まらない〜
 ―ブジュウゥーーーーーーっ!!!
「きゃあーーーーーーっ!!!」
 紅い花が、オレの机に、ノートに、教室の床に、咲いていく。
 それを見て女子生徒が悲鳴をあげる。
 あぁまた、“呪い”が発動したのか…。
 オレ、天海 航(アマミ ワタル)。高2。
 青春真っ盛りな高校生と言いたいところだが、“出血真っ盛り”な高校生と言わざるを得ない、残念なヤツです。外見は、自分で言うのはアレだが、中の上だと思う。
 今は授業中。なのに、オレは鼻血で大量出血した。
 ―どーせ、エロいこと考えていたんでしょ?
 …失礼な。オレは授業中にエロいことなど、考えたことは無い!
 10歳になるまでは鼻血を噴くなんて、一度も無かったのに。10歳の誕生日から、月に5回不定期に鼻血を噴くようになってしまったんだ。
 原因は遡ること中世、ルイ14世が太陽王と呼ばれていた頃。
 オレの先祖の1人、トニオ・アルカイオスというエクソシストは、強大な魔力を持つサキュバスの姫、アリアドネを激闘の末討伐した。彼が、追い詰めた彼女にとどめをさそうとした時のことだった。彼女は残り短い命と、その身に宿る魔力の全てを使って、彼とその子孫を呪った。
 …つまり、アリアドネの呪いが、オレを鼻血による貧血で苦しめているんだ。医者には原因不明の奇病と言われている。
 唯一の治療法は、サキュバスにキスすること。って親に言われた。
 そう言われても、サキュバスってそこらへんにぼこぼこ居るモンなのか?サキュバスだと思ってしたら人間だった、おまけに彼女のファーストキスを奪った。…なんてことになったら、オレ、どうすればいいんだよ!?
「天海?……ぁ……………っ!?」
 ん?地震か?身体が揺れている。視界は黒い霧に遮られていく。


 ―――パタン。

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