《MUMEI》

僕の全ては冷たい雪の中

その中でしか生きられない

雪があるところなら何処にでも行けるし
無いところなら消えていなくなるだけ


冷たさだけに包まれて

僕もまた 冷たいモノとして在る




僕のいる此処は

冷たさに埋(うず)もれた世界の果て


"全て"の
心の涙が降り積もる場所


哀しい涙 も

苦しい涙 も

痛い涙 も

淋しい涙 も

辛い涙 も

虚しい涙 も


どんな涙も
ソレが心の本音なら

世界の果てで
涙の代わりに雪が降る



虚しいなら 灰色

辛いなら 紅色

淋しいなら 蒼色

痛いなら 朱色

苦しいなら 藍色

哀しいなら 黒色


"何も無い"のに涙するなら

白色



――君の心は



何色ですか?








僕の全ては冷えた"心の涙"の中

その中でしか生きられない

ソレがあるところなら何処にでもいるし
無いなんて幸せな場所は存在しない




涙の雪で溢れた
閉じた場所に僕は在る


その内側からしか外を見ることの出来ない僕には
外は酷く歪で捻れたものに見える





―――僕は金魚

切なく
儚く消え行く筈の雪金魚


でも

皆が泣かないから僕が在る

皆の涙が永遠に
僕を鉢の中(このせかい)に閉じ込める


冷たい心に溜まった 流せない涙は雪となり
僕の元へと降り積もる









さぁ

泣いてしまえばいいよ


涙は雪より温かいから



――泣けるような温かさに包まれて

いつかは僕も


あたたかさに融ける様に
消えて行きたい






―――――――End.



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