《MUMEI》 信じたい。(叶人さんがホストだっただなんて…) カナは若月家のトイレに隠っていた。外は危ないし、家の中で唯一1人になれそうな場所…、カナにはそこしか思いつかなかったのだ。 (嘘だよね…) ―さっきのは夢だったと信じたい。初めて着いた担当者の前職がホストだっただなんて、信じたくない。 「叶人さんに確かめようかな…」 (でも、彼方さんの目は嘘をついているようには見えなかった…) ―コンコン! 『カナ、ここに居るのか?』 (叶人さん…) 「ここに居ます…」 『出て来てくれる?話があるんだ…』 「はい…」 ―ゴンっ! 「痛い…」 開けたドアが叶人の額に当たってしまったようだ。 「ごめんなさい…」 カナは背伸びして、叶人の額を撫でた。 (少しでも痛みがひいてくれたら…) 「…ありがとな」 叶人は微笑んだ。 「リビングに来て」 彼はスタスタと廊下を歩いて行く。カナはそれについて行った。 前へ |次へ |
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