《MUMEI》 なにもかも失った。もう、それしか言い様もない。だってもう大学には行かれない。一度落ちたら、もううちの家族は、お金をだしてくれることはないから。 本当にそうだった。誰の時も。母も、叔母も同じ。だから私も、そうなるんだ。 何のためにいきてきたのかな。私なんて。 そう思いながら家に帰る道路をあるいていた。大学で失敗すると、人生は楽に生きて行けられない。 というのは、耳がいたいほどきいていた。 私は、もう死のうとおもい、ビルに上がった。 「すみません。」 誰かの声。振り向くとお坊様のようなひとがいた。 「何よこのくそ坊主!お経を唱えて長生きなんか、押し付けやがって!あたしはね、あんた見たいなひとは、一番きらいなんだよ!」 「そうでしょう。しかし、自ら命を絶つことは許されていません。」 「なにいってんだよ、くそやろう!殺してやろうか!」 私はお坊様に近づいた。すると、お坊様は、右手を上げた。そのときに、ものすごい雷がなり、私はセーターを編む毛糸がほどけていくような感触になった。あしをみると、消えている!私は、毛糸になっていたのだ! そして、私は完全に糸になってしまったが、体は糸になっても、私は糸を追跡することができた。つまりは、透明人間になったのである。 糸は、お坊様が寺に持ち帰り、小さな男の子のお母さんに手渡された。そして、それが黒だったからか、私は小さな男の子のセーターになった。小さな男の子は、まだ、がっこうで、明るく元気に過ごしていられるような年である。しかし、彼は、重い病気のため、長期に病院に入院していた。他の患者さんに元気よく挨拶もしたし、おばあさんと、風船でバレーボールをしたり、人気者だった。 しかし、あるとき、朝起きて、私を身に付けた少年は、胸を押さえて廊下に倒れ、いくら看護師や医師がてを打っても、回復はできずに亡くなった。 「どうか、この黒いセーターを御燗にいれさせてください。私の、最後のプレゼントなのです。」 お母さんはそういった。 葬儀やさんが、その通りにしたので、完全に私の体は、消滅した。火葬だったからだ。 しかし、私は少年が焼かれていくのをじっとみて、いまも空気というなまえを借りて、生死を見届けなければならない。 |
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