《MUMEI》
タノミ
「へっ!!??」


犬神の娘である祀の婚約者が伝説の妖怪九尾狐の息子だということは妖怪の誰もが知っている話なのはわかっている。

ただ、九尾狐といえばとても地位高く有名。


そんな家にわたし!?


「セイギョク…あ、その私の婚約者がねどうも優秀な使用人が欲しいんだって!
黄月、そこらへんの女妖怪より若いし家事できるしぴったりだと思うの!
黄月が気に入られればわたしの株が上がるってもんだし‼︎」


「なんで私なのよ…」


「貴方が最適なのよ!
私犬神だから古い妖怪しか知らないし、行ってくれそうな友達も貴方以外いないし!

セイギョクが女嫌いだから使用人の人も男ばかりらしいんだけど
家事的なことをする女の人が足りないらしいの!

ね、お願い!
貴方にとって悪い話ではないでしょう?」


「貴方…私がなんの妖怪かわかってるの?」

仮にもわたしは飛縁魔。

なにかあるかもしれないじゃない。


「わかってるよ!!
でも貴方以外いないしっ!
それに、セイギョクは女嫌いなの!
だからほとんど使用人は男ばっか!
私だってほとんど喋ってもらえないのよ?

仕事は本当に事務的なことらしいし
側近は別にいるから近づくことすらないでしょっ!」


「……まぁ、それなら…」


私にとっても悪い話ではない。

家がないと、天気が悪いときにとても大変だし…

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