《MUMEI》 デアイ入れられた部屋は裏庭のような場所が見える部屋で 裏庭には大きな木が見えた。 「セイギョク〜っ」 と走り、庭に飛び出していった祀はほっておいて わたしはタマさんと入り口の端へ座る。 「ねえ、セイギョクきたよ!」 そういって、大きな木を見上げる祀。 そして見上げた先に見える人影。 着物は原形をとどめていない形で気崩され、 靡く金色の髪が美しく 後ろ姿だけでも惚れ惚れする妖艶さだった。 「うるせぇ、静かにしてろ」 そう冷たく言い放つ声。 あら、祀可哀想っ 「ねぇ、セイギョク〜 私と同い年の使用人を献上するわ‼︎ 昨日まで街に住んでいたからなにかあっても大目に見てあげてねっ!」 おいおい! 献上て。 しかもなぜお前に 大目に見てあげてね! なんて言われなならんのだ! いや、まぁ、祀に紹介されてきてるんだけれどね? 「ほう、街ね…」 そう声が聞こえたかと思うと 強い風がふいた。 反射で目をつむっていると 「この女子がか?」 低く囁く声で目を開けると 金の透き通るような髪 切れ長の目 筋の通った鼻 形のいい唇 ラインの美しい輪郭 なにをとっても美しく妖艶で色気のある男が 私の顎を軽く持ち上げていた。 「お前、名をなんという」 「黄月」 「字は?」 「黄色い月と書いてキツキ…よ」 「ほぅ…。よい名じゃ。 俺はセイギョク。星の玉と書いてセイギョクじゃ。」 「はぁ…」 「気に入った。黄月よ、俺の側近をやれ」 ………へ? 「せ、セイギョク!!??」 「せ、せ、セイギョクさまぁ!!?」 「よかろう?俺はこいつを気に入ったのじゃ。」 そう、悠然と答える星玉。 え、ちょ、待ってよ!! 女嫌いなんじゃないの!? 使用人をするってきたんじゃないの!? 「ちょ、星玉!!!」 怒りと焦りと不満の色を放つ祀。 そりゃ…そうよね。 あんだけ説得してた祀だけれど いくらなんでも私は飛縁魔だもの。 流石に許せないわよね。 「ありがとう、祀よ。 俺はこいつを気に入った。お前に感謝する」 そう言った星玉に 祀は顔を赤らめ 「いえいえ…いいのよ! …そうよね、使用人と皇子ですもの。大丈夫よね」 ……なんて単純なの祀!!! かくして、本日付けで星玉の側近となりました。 前へ |
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