《MUMEI》

「ただいまー」
 保健室で回復したオレは、教室に戻った。
 相変わらず、クラスメイト達の心配そうな視線を送ってくる。何度も鼻血を噴くヤツを見たら、そんな視線しか送れないよな…。
「天海、大丈夫なのか?」
「あ…、はい」
 いーっつも、帰ってきたオレに対する一言目はこれだ。正直言って、聞き飽きた。他の言葉は無いのか?
「航はいいよなー、授業サボれてさ」
 …お前にオレの呪い移してやりてぇよ。どれだけこの呪いが辛いか知らないくせに。
 こんなオレの日常をどうにかしてくれるサキュバスは、いったいどこにいるのやら。
 さっさと見つけないと、オレの寿命は確実に短くなる、な…。

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