《MUMEI》 壱章―ジリリリリ…! けたたましい目覚まし時計のベルが、夢の終わりと今日の始まりを告げる。 「うるさいなぁ…」 ムクリと布団から顔を出し、目覚まし時計にチョップを食らわせ、それを黙らせる。 4月2日。静かな春休みが終わり、煩わしい新学期が始まる日。 『春花、朝ご飯できたわよ〜!』 母の甲高い声。 (朝から叫ぶ必要なんて無いのに。あぁー面倒だ) 春花は冬眠から覚めた熊のように、のそのそと布団から這い出し、二階の自室から一階のリビングへ、階段を下って行く。 「おはょ…」 春花はリビングに続くドアを開けた。母の作る朝食の匂いが春花の鼻をくすぐる。 「春花、おはよう!」 (相変わらず…テンション高いね…。自信作が作れたんだと思っておこう) 前へ |
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