《MUMEI》 異世界と猫耳いくら頬をつねっても、いくら目を擦っても、目の前にいる猫耳を生やした女の人の姿は変わらない。 …ナニコレ。 目をパチクリさせる葵に女の人は、妖艶に、優しく、柔らかく微笑んだ。 「紹介がまだだったわね。可愛いアリス。…私はミナ・リマリオ。ミナと呼んでくれたら嬉しいわ」 彼女の一言で葵はまた、固まる事となった。 「アリス…?」 呟いた声は小さいものだった筈なのだが、ミナの猫耳がピクッ、と動いた。 …あ、やっぱり動くのか。 「絶賛混乱中みたいね。ふふ、ここは貴女にとっての『異世界』、とでもいっておこうかしら?」 悪戯に笑うミナはわざとなのか自然になのが笑いながら右手の人差し指を唇の端につける。 「__私は、死んだんですか?」 「いいえ、一命をとりとめている状態。言わば『植物人間』ね。___あぁ、こんなに可愛いアリスだもの、『眠り姫』と言った方がいいわよね」 …いや、どっちでもいいです。 前へ |次へ |
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