《MUMEI》
自覚せずにゆっくりと
(あ…あれ?おかしいな)

初めて女の子扱いしてくれたからか、それとも、
相手が健志だからか…
わからないけど、急に私は恥ずかしいような気持ちが沸き上がってきた。

「し…心配してくれてるの?」

思わず聞いてしまった…

「当たり前だよ。好音が危険な目にあうのは嫌だから」


(どうしよう)

健志の言葉を聞いて、心臓がドキドキしてきた。

なんかの病かな…?
えっと、狐がかかる病は…

などと、もやもや考えている私に健志は、

「好音?顔赤いけど…大丈夫か?」

と、言って また心配してくれた。

「えっ…!?だ、大丈夫だよ健志!!ちょっと暑いなぁって思っただけ!」

無理矢理つくった笑顔で、私はごまかすが
健志は私の顔を見て、さらに心配そうな顔になった。
「好音…俺の前では無理しないでね。しばらく好音を見て解ったことだけど、好音は誰の前でも平気な顔をしてるから…」


私の顔から笑みが消え去り、かわりに驚きが広がる。
じーちゃん以外の誰かに
それを見抜かれたことがないからだ。

(よく私のことを見てくれてるんだな…)

私は嬉しかった。


すると、そのとき…

「あん?ヒック……こんなところにバカップルがいるじゃあねぇか…ヒック…」


油断した。人間界から誰かがこの村に入ってきたみたいだ。

顔が赤いし…見たところ、中年のおじさんが酔っ払ってここに来てしまったみたい。

(久々のお仕事だ…)

私がそのおじさんに家に帰ってもらうように説得しようとすると…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫