《MUMEI》
決定権と奪い合い
口論を始めたミナと白ウサギを止めて、ミナに話の続きを促した。



「『役』は他の護衛に比べて格段に強い。選ぶなら私達の誰かがいいんじゃないかしら?」



そういわれてミナ達三人の顔を眺める。


この中で最も厄介そうなのが騎士長だ。
その殺気もそうだが彼はどことなく私と似通っている部分があるように思える。


はっきり言ってめんどくさそう。



かといって白ウサギは変態だし。


ミナはミナでその妖しげな雰囲気がどうにもしんじられない材料となっている。



本当にロクな奴がいない。



「これはこれは新米アリスちゃん、ようこそ。歓迎するよ」



唐突にそんな声が聞こえてきたため、その場にいた全員が弾かれるようにパッ、と振り向いた。



ニヤニヤと悪寒がするような表情を浮かべた青年がそこにはいた。



「……誰、ですか」

「名乗る必要もないだろう?君はもうすぐ死ぬんだから」

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