《MUMEI》

「おじさん、帰る方向間違えてるんじゃない?」

健志がそのおじさんに
話しかける。
私は呆然としてしまった。
「ヒック……ん?どこだここ……やべ、はやく帰らねぇと妻が怒っちまう!」

そそくさと人間界へ帰っていった。


いまだに呆然としていた私は、こう考えていた。

(誰かに絡まれても、いつも私が追いかえすのに…)
私の仕事の時間帯に
目の前で、誰かが追いかえすのを見るのは初めてだったのだが…まさか、健志は私を助けてくれたのだろうか……


「健志…あのね、さっきの人は私が追いかえさなきゃいけなかったんだけど…」
しどろもどろ健志に言った

「…あのさ、仕事の時間帯ずらすのってダメ?」

健志の言葉で、私は顔を上げる。

「夜は特に危ないから、本音を言えば好音にはやめてほしい。門番なんて危ない仕事は…」

「やめれるわけないでしょう!!」

私は大声で叫んでしまった…けど、それほどまでに 頭の中で怒り狂っていた。

「門番の仕事はこの村の要なの!!私達門番がいるから村の皆は幸せに暮らせるの!外部のひと達が皆に嫌なことをしないように、私達門番がこの村を守ってるの!!門番がいなくなったら、ただでさえ狙われやすいのにさらに荒らされやすくなっちゃうから……」


一気に話して、ふと我に返る。

(しまった…ついムキになっちゃった…)

「ゴメン…俺、よく知りもしないで無神経なこと言って。」

健志の顔には
悲しみと切なさと…うまく言えないけど、沢山の意味を感じとれる表情がうつっていた。

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