《MUMEI》

 ―ちゅ………。
 オレの唇が彼女のそれに重なった。
 …って、オレ何やってんの!?名前すら知らない子に、こんな、破廉恥なことをしているんだ!?
 でも、何故か気持ち良いんだ。さっきまで鼻血を噴きそうだったのに、それが一気に収まっていく。

 ―もしかしたら、この子はサキュバスなのかな。そうだとしたら、この子にオレの呪いごと吸い上げてもらおうか。

「………ん」
 マズい、目覚めさせちゃった!?
 オレは彼女から身体を離し、脱兎のごとく保健室を出た。
 荒くなった息を静めながら、その中の様子を伺う。
『…ぃ、いやぁあぁあーーーーーーーっ!!!!!!!』
 どうやら目覚めさせてしまったようだ…。もぅ保健室に行けない…!

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