《MUMEI》
生徒会室と日常
人気のない放課後の校舎__


「ここはこうするべきです!」

「いや、こっちに移しましょう!」



城崎学園高等部北校舎の四階の東側。


会議室と生徒会室が隣合わせで位置する場所である。


大きな声が響いたのは生徒会室の方。
その部屋の中では二人の男女が睨み合っていた。


そしてその周りにはやれやれという顔をした生徒達が五人程。
一般人からすればカオスな光景である。



世にも珍しい美形揃いの生徒達は今は休憩中なのか優雅(?)に紅茶を飲んでいた。


言い合いをしている生徒二人は表面上ニコニコしながら相手を罵倒しまくり、最終的には部屋の上座の方を見た。


「会長は」
「委員長は」


「「どうお考えですか!」」



彼らの目線は静かにオセロをしている男女に注がれている。
会長、委員長と呼ばれたこの二人こそがあの生徒会長と風紀委員長である。



「え?」

「んー」


そんな二人は石をおく手を止めずに実に気の抜けた声を返した。
話は聞いていた二人は机の上に置いてある、『体育祭の警備の配置について』と書かれた紙をチラッと見た。




「まぁ…このまんまでいーんじゃない?」



金髪碧眼の男子生徒が口を開く。
彼はこの学園の生徒会長の綾瀬 悠希。


透き通った真っ白な肌に真っ直ぐ伸びた煌めく金髪。
そして眠そうにして狭まった瞼の間から見える綺麗な碧色の瞳。


ロシア人の血を半分、
オーストラリア人の血を四分の一、
日本人の血を四分の一、と珍しい三ヶ国以上の国籍を持つ人物。


その容姿は王子様を思わせられる。



悠希は続けて言った。


「…だってコレ、氷川が決めたんでしょ」

「…不具合があるなら、変えてもいい」



氷川、と呼ばれた女子生徒は目はオセロ盤に向けたまま答えた。


氷川 水月。学園の風紀委員長。


鎖骨辺りまで流した黒髪に、すこし青みがかった、これまた悠希とよく似た眠そうな瞳。



水月は他の役員や委員より平凡な顔立ちではあるが、実際には中の上位だと伺える。



話し方も二人は良く似ていて二人が言うと、聞いている側がすごくやる気を無くしていかされるような言い方だった。



悠希も水月も華奢な四肢と白い肌なため、軟弱を思わせられるがオセロ盤に向けた表情は真剣そのもので瞳は鋭く光っている。


横からでも異様な威圧を放つ“それ”はまるで鋭利な刃物のようだった。




日常茶飯事となったこのやり取りにほかの役員や風紀委員幹部達は苦笑いを溢していた。







___これはそんな無気力な超人コンビのとある物語。

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