《MUMEI》

この学園のトップ組織は生徒会と風紀委員会で、生徒会役員は五人。風紀委員会幹部は四人で構成される。




その学園の副会長と副委員長は先程口論を繰り広げていた二人で、


生徒会副会長は立花 南、

風紀副委員長は有沢 蒼磨という。



その二人も今は紅茶を飲んで座っている。


大人しい二人の様子に役員と幹部はホッ、と息をつくのだった。



「…あ、俺の勝ち」

「1つ違い……惜しかったな」


静かになった生徒会室にそんな会長と委員長の声がした。


この二人は毎日の様にこうして、オセロやらトランプやらチェスやらでゲームをしているが、罰ゲームは購買のデザートを奢るというものだった。



しかし、今回は購買のデザートを制覇してしまってルールを変えていたのだ。


そのルールとは、







負けた相手が勝った相手の言うことを1つ聞く、というもので退屈していた二人はどちらも「じゃあ、それで」というようになんとも適当に決めてしまったのだ。



そして今回勝ったのは悠希。


僅か一目差のものではあったが、すこし嬉しそうな顔をしていた。



「要求は?」


首を傾けて聞いた水月に、珍しくも悠希は柔らかく微笑んだ。


「え、じゃあ俺の彼女になってよ」
「却下。変態」


「え〜。委員長つれなーい。しかも変態って酷いなぁ」

「間違えた。反対と言いたかったの」

「はた迷惑な間違いだね」



悠希ようなの容姿の持ち主にあんな表情で言われれば即オーケーしそうなものだが、生憎、水月は他人の好意にはとても鈍かったりする。



他人の悪意には人一倍鋭いのに、好意には全く気付かないなんてひねくれているものだ。



と生徒会と風紀委員会一同は思っている。

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