《MUMEI》
終わりは始まりと共に
「俺、あっちに帰ってもまたこの村に遊びに来るよ?」

びっくりしながらも私は安堵した。

(よかった、健志…遊びに来るんだ…)

「そうなんだ…!じゃあ毎日遊びに来る?大歓迎だよ〜」

さりげなくそう言った。
健志の顔が一瞬引き締まった気がしたけど、私は気にとめなかった。


「ねぇ、好音は……好きな人とかっている?」

健志の口から思わぬ言葉がでたからか、心臓がどくんとなった。


(好きな人……!?)

いきなりそんなこと言われても、私自身よくわからないから答えるに答えれない…

「えっと……多分いない……かな?」

恋愛にはあまり興味がなかったから、そういう感情に疎いだけだと思うけど…実際、どうなんだろう?私は誰かを好きになってるのかな……?

そう思ったとき、下に向けていた私の頭には健志の顔が思い浮かんだ。

(あれ…!?)

慌てて顔を上げた私をまじまじと見ている、健志の顔が目に入った。


「そっか、好きな人はいないんだ……よかった。」

ほっとしたような顔だ。何故、私に好きな人がいないということにほっとするのだろう?


(そう言えば、昔買った人間界の…絵が沢山描いてあった、漫画とかいうやつで似たような展開を見たな)
その漫画の続きはたしか、二人が実は両想いで……

思い出しているうちに私は段々恥ずかしくなった。
「健志、聞きたいんだけど……何で私の好きな人のことを聞いてきたの?」


私は自分でも気付かないうちに健志に聞いてしまっていた。

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