《MUMEI》
私は僕だ。
ここは聖蘭学園男子校。 国内でも有名な超エリート高校だ。

そこに、女子である私・橘晴(たちばなはる)が通っている。

ことの発端は数ヶ月前…
私がいまだに進路のことで悩んでいるところに父が来て、賭けを持ちこんできた。

『父さんの母校の男子校に三年間女とバレずに卒業できたら、お願い事を聞いてやろう!』


最初は、父が酔っ払っているから適当なことを言っているのだろうと気にしなかったが、後に、父は真面目に言ってたとわかり、私はその賭けにのった。

私の家は、いわゆるギャンブルとかの家系で、それ関連の会社を立ち上げた、ヤクザとは違う意味で危ない家系だったりする。


男女関係なく会社を継がなければいけないため、長女である私が会社を継がなければいけないのだが…

正直 めんどくさい。

私は家系にとらわれずに自由に生きたい。だから、父との賭けに勝ったら、卒業後の私の行動に一切口出ししないことを誓ってもらいたい。


そのために私はここにいる。


「うわぁ、また橘が主席かよ〜」
「まじで!?スゲエ…ぶっちぎりじゃん!!」


入学してから約2ヶ月、ずっと主席をキープしている。というか、中学からずっと主席だ。

(少し考えればわかる問題ばっかりじゃん。)


「またお前が主席かよ…!今度こそ俺が主席に這い上がろうとしてたのに!!」

私が自習中に話かけてきたのは、いつも学年二位で同じクラスの、桐生鈴(きりゅうれい)。
常に私につきまとう、うっとうしいやつ。

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