《MUMEI》

「いつもと同じ結果じゃん。桐生も、変わらず二位で良かったな」

ノートをパラパラっと見て平然と言った私を、桐生が睨みつける。

「次は絶対俺が主席だからな!!」
と言って、教室から出ていった。


クラス中が心配して変な目で見ているのをよそに、私にまた声がかけられる。
「橘、大丈夫か?」


とくに私を心配してくれているこの金髪・めがねのイケメンは、彩原崇(さいばらたかし)。
入学以来、私と桐生のいがみ合いを仲裁してくれたり私を心配してくれたりと、随分お人好しなやつだ。
「別に、いつものことだろ?いじめられたりはしてないし、大丈夫だって。」

男口調で私はそう言った。

「まあ桐生も、自分より成績が良い橘に嫉妬しただけだろうしな。器のちっちゃい男だよ…」

「しょせん、顔だけの脳なしアホ野郎なんだよ。」


桐生の悪口を言っているとクラス委員長が私達のほうに向かって、「授業はじまるぞー!」と、言ってきたため 私達はそれぞれ席に着く。


「四時限目をはじめる!皆、席に着けー!」


古典の教師が教室に入ってきて、号令をかける。


私達はいつものように、教科書を開きノートを出して授業がはじまった。

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