《MUMEI》

それに…家族や親戚の人達と会食だし。
だから、なにがなんでもはやく帰らなくちゃいけない…!

「おい、桐生!窓から出るぞ」

「はあ!?何言ってんだよ、おとなしく誰かがくるのを待った方が良いだろ?」


桐生の言うことを無視して私はケータイの明かりを照らし、窓に向かって歩く。
まだ不服そうに私を見てる桐生に、私が慌てている理由を正直に説明した。


「今日は家族とか親戚が集まって、会食なんだよ。遅くなると親がうるさいからさ」

私が窓の前まで来たとき、桐生が私に言った。

「会食…?なんだよ、何かめでたいことでもあったのか?」

「いや、月に一回必ずある。…まあ、会食というか、どちらかというとパーティーに近いけどな」

「ぱ…パーティーだあ!?何気にお前ん家って、スゲエ金持ちなんだな…!」

「ああ…世間一般ではそうなるかもな。」


何せ、代々ギャンブル関係の家族だからな…しかも、家族全員運が良いもんだから、儲かる儲かる……

(…と、ダラダラ話してる場合じゃない。)


私が 窓の鍵を開けようとすると……


ガチッ!


「な…なんだ、これ!?」

鍵が…開かない……

桐生も困惑していた。そして私も動揺していた。


そんな私達の近くで、よく聞き慣れた声が聞こえた。
「鍵はちょっとばかり細工させてもらったよ。」

その声は、委員長だった。

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