《MUMEI》
新たな日常
あれから数ヵ月…


「おはよう、じーちゃん!」

「おう、今日は早いな。さてはアイツか?」

じーちゃんが半分睨んだような目で私を見る。それを無視して、私は朝ごはんを口に運ぶ。

「え〜?アイツって誰のことかなぁ?」

少し上機嫌にそういうと、じーちゃんの鉄拳が飛んできた。

ドゴォッ!!

「会うなとは言わんが…わかっとるよな?仕事をサボらないことを条件に、人間界に行く許可を出したってことを!」

「いてて…なんで今鉄拳飛んだの!?」

「いかにも幸せそうなにやけた顔がイラッとしただけだ!」

(屁理屈!横暴!!)

しれっとした顔でお茶をすするじーちゃんを見て、私はそう思いながらも、先ほどの問いにしっかり答えた。

「…わかってるよ。仕事はちゃんとしてるでしょ!前みたいに寝坊もしてないし、それ以外のやるべきことも怠ってないよ。最近は料理もやりだしたし…」

そう、健志が妖狐村を出ていったあの日、私はじーちゃんにお願いして、健志がいる人間界に行かせてもらったりしている。…そのお願いを聞き入れてくれたは良いけど、人間界に行っても良いかわりに、今までやっていることを怠らないこと・仕事をちゃんとすることを条件とされている…じーちゃんとの約束だ。

「…なら、文句はねぇ。」
じーちゃんは、呟くようにそう言って自室に戻る。私も、急いで朝ごはんを食べ終えて食器を洗い、外出の準備をする。

(今日は人間界に行ってもいい日っ!!やったぁ!)

準備を終えてから急ぎ足で玄関に向かう。「行ってきまーす!」と一言言って家を出た。

「人間界の地図は…っと」
私は地図を取り出し、場所を確認する。

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