《MUMEI》
そこに居る美少女は知っていた。
 彼女の漆黒の瞳が一瞬で紫色に変わる。アメジストをそのまま嵌め込んだようなその瞳は、妖艶な輝きを放っている。いったい何故瞳の色が変わるんだ…?
「怖がらないで、早くベッドに寝転がって?」
 うわ…、なにこれ…。
 身体がオレの意思とは関係無く、保健室の一番奥にあるベッドに歩んで行く。そして、彼女の言うとおりに、ベッドに寝転がる。
「…従順なのね」
 美少女はそう嬉しそうに呟いて、オレの自由がきかない身体に覆いかぶさるように、四つ這いになった。
「今にも鼻血を噴いてしまいそう、って顔ね」
 …オレに何をする気なんだ、お前。
 美少女の細く白い手片手がオレの顔に添えられる。それはオレの紅く熱を孕んだ頬には少し冷たく感じられた。
 そのまま…。

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