《MUMEI》

 ―ちゅ………。
 オレの唇に美少女のそれが重ねられる。
 その感触は1ヶ月前と同じ、柔らかくて微かに甘い。それに加えて、何かを吸われる感覚があると同時に、噴きそうだった鼻血が収まっていく。慣れていないからか、不思議な感覚ではあるけれど、心地良い…。
 触れ合う時間は短いはずなのに、なぜか永く感じる。
 …あれ?なんか手足の先が冷たくなってきた…。
 美少女と繋がった唇を離そうと、身体を押し返そうした。しかし何かを吸われているせいか、力が入らない、動かせない。
 ―このまま冷たくなって、死ぬのか…?
 不吉な予感がオレの頭を過ぎる。でも、オレはまだ死にたくない!キスして死ぬなんて真っ平御免だっ!!!
 ―グイッ!!!
 突然、唇同士が別れた。
「俺が居ない時には“吸うな”と言ったよな?」

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