《MUMEI》

「痛いっ!!!」
 先生が美少女の両肩を掴んで、一気に彼女をオレから引き剥がしたのだった。
 た、助かっ、た…?
「レイトの馬鹿!」
 先生の名前を呼び捨て!?この2人はどーゆー関係何だか…。
「天海…、大丈夫か?」
 先生がオレの両手を握る。彼の手は大きくて温かった。
「冷たいな…。かなり結奈に“吸われた”だろ」
 かなり長い間キスしてた。それと関係あるのか?
「長い間キスしてた…」
「結奈!!!あれほど“吸うな”と言っただろうが!」
 先生が美少女を叱りつけた。
「だって…美味しかったんだもん…」
 “美味しい”…?
 キスしたときに唇の味を感じることはあるが、彼女の“美味しい”とは、オレの唇の味のことではない気がするな…。
「先生…、結奈さん(?)はオ」
「下等生物(人間)の分際で気安く結奈のことを口にするな!」
 名前(?)を呼んだだけなのに、彼女の機嫌を損ねてしまったらしい。お淑やかな美少女かと思ったら、我儘な御嬢様か、コイツは…。
「天海…、あまり咎めないでやってくれないか?まだ黒宮は“コドモ”なんだ」
「コドモじゃないもん!」
「…黙ってろ」

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