《MUMEI》

「そっか…お前、色々大変なのに俺、そんなことも知らずに毎日ケンカふっかけてたのか…」

よく聞こえなかったためなんて言ったのか聞こうとしたその瞬間…

ガコンッ!!

「お前ら、こんな時間まで何やってるんだ?」

体育館の入り口が開き、体育の先生がそこに立っていた。先生は、怒ったような困ったような、そして何よりあきれたような顔をして私達を見ていた。

(見回りの時間か…!)

良かった、出れる!と思い、私は、委員長が私達を閉じ込めたことは言わずに、「野暮用で放課後にここに来たら、誰かが鍵をかけてしまったみたいで」と、誤魔化した。先生が「どうせお前らのことだ、またケンカしてたんだろう!さっさと帰れ!」と、私達を追っ払った。

「おい、橘!なんで委員長が俺らを閉じ込めたって言わないんだよ?」

ヒソヒソと私に話かけてきた桐生。

「面倒事は嫌いなんだよ。それに…制裁を加えるのは自分達だけでいいだろ?」
悪魔のように微笑む私を見て、「お前…マジ悪魔だな!」と、笑って言った。

(パーティー、もう終わったよなぁ…母さんには何も言われなかったけど、父さんには多分怒られるな…)
などと考えつつ、桐生と私は途中まで一緒に帰った。昨日までは、桐生と何かとケンカをしてたけど、今日は二人 笑って帰った。


次の日…
私達はいつもより早く学校に行き、委員長を待ち伏せした。そして委員長が来たとき、私達は適度に制裁を加えた。「僕も、やりすぎたって反省してるよ〜っ!」と、泣きながら言う委員長に、私と桐生は一言謝った。

「そもそも、僕らがケンカしなかったらいいだけの話だしな。委員長があんな行動をとったのは僕達に問題があったからだし…」

「…これからはケンカしないようにするよ。」


こうして、僕らと委員長のプチ事件は収束した。

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