《MUMEI》

「なぜですか?」
「吸精姫には生涯にたった1人の人間の精気しか吸ってはいけないという掟が代々受け継がれているんだ。吸精鬼は不特定多数のを吸えるけどな」
「つまり…オレのしか吸えない、と?」
「そういうこと」
 えぇーーーーーっ!?
 そんな、オレ、あの子に吸われ続けなければならないってこと!?吸ってくれる子がいなくて、鼻血を噴くのに比べたらマシだけどさ…。
「結奈は天海のしか吸えないよ?天海が拒絶したら、結奈は飢えていくだけ。天海は吸われなきゃ、鼻血を噴くだけだから」
「運命共同体…?」
「そういうこと。2人にはいずれ…」
「男2人、何話してんのよ?」
 美少女は気を取り戻したようだ。
「天海に結奈のコト話してた。天海のしか吸えないって、な」
「………っ」
 美少女は先生の睨みつける。オレに秘密を知られたことに対して、よく思ってないようだ。
「…で、アンタは誰なのよ?」
 彼女の鋭い視線がオレに突き刺さる。オレは蛇(美少女)に睨まれた蛙のごとく、動けなかった。
「天海…航…ですが?」
 その時には口を動かすのが精一杯だった。
「…ふーん。そんな結奈がちょっと怖い目をしたくらいで、そんなヘナヘナになっちゃって。吸ってるこっちもヘナヘナになりそうだわ…」
 彼女はハァーーーっと盛大に溜め息をつく。
 …って、失礼なっ!!!
「…まぁ、アンタだけに名乗らせておくのはかわいそうだから、仕方無く名乗っといてあげるわよ。1回しか言わないから耳の穴かっぽじって聴いときなさいな!」
 なんか、上から目線が腹立つな…。

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