《MUMEI》
何故、ここに来たのか
私はまた目を覚ました。

「すみません…人間の身体には毒になるものでした」
また男が座っていた。今度は土下座をしていた。

「あなたは人間なんでした…我々神とは違うということを忘れてました、本当にすみません」

「あ…大丈夫です!ほら、意識も戻りましたし、もう起き上がれますしっ!…て…神?」

「良かったです〜、先ほども言いましたがあなたは神の世界に降り立った人間なんですよ〜!もしこちらの世界に来た人間に何かあったら私が上の神々に怒られるところでした…」

「神様の世界…?へぇ、実在するんだ……じゃなくて!!私、たしか、落とし物を交番に届けようとして…」
(あれ?やっぱりそこからの記憶がない…)
何度も思い出そうとするがやはり思い出せなかった

「思い出せないのも無理ないです…あなたは、神界の入り口付近で神界の落とし物を拾ったために神の世界に呼び込まれたんですから、綾瀬菜津さん」

「え…何で、私の名前…」
「ああ、学生証とやらを見ました。何やら他にも色々ありましたが…」

そう言うなり、男は私の学生鞄をガサゴソと漁る。

「ちょっと!?見ず知らずのあんたに鞄漁られたくないんですけど!?てか、誰であっても嫌だけどっ!!」

(非常識な神様だな!)

実を言うと、私はなんでも信じやすいタイプの人間なため、目の前の人が神様だということも 私が今いるこの場所が神様の世界だということも信じてしまっているのであった。おかげですっかり騙されやすい…

「あっ、申し遅れました、私は雷神・滝芽(たきが)という者です〜」

漁っていた手を止めて自己紹介をしだした。なんてマイペースなのほほん神様なんだ…こんな神様、いていいのか?と思いつつ、私はずっと聞きたかったことを聞いた。

「それで…私はいつ元の世界に帰れるの?」

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