《MUMEI》
始まり
そんな初顔合わせの後はそのまま
打ち合わせも兼ねて私の部屋に移動した

ばあやと過ごしてきた普段の生活や
部屋にある着替えなど持ち物について
一通り説明しようとしたが

「そちらは既に聞き及んでおりますので」

流石。
蓮は見た目通り仕事ができるようだ
立ち振舞いも洗練されていて隙がないし
素直に感心する


「…おい。何兄貴ばっか見てんだよ」

「え?ああごめんなさい…
蓮は仕事できるなって感心してたの」

…龍はイマイチ掴めない。
仕事できるっていうより
イメージがとりあえず体育会系……


「ふーん?俺はできないってか」

「ちがっ…ひゃっ!」

気付くと龍は私の顎をくいっと持ち上げ
龍の綺麗でどこか鋭い顔が目の前に。

「そのうち俺しか見えなくしてやるよ」

「…なっ…////」

なんなのこいつ!!!!!
仮にもこの西條家の一人娘に…

しかしそんな焦りと裏腹に
顔が熱くなって行く

「龍!慎みなさい!」

そりゃ蓮、怒るよね。

「ん〜?満更でもないぜ
ってかあの兄貴が焦ってやんの」

「早く離れなさい!」

「ねえ…龍…っ」
私も恥ずかしいしこんなの慣れてないし
早く離してほしくて龍を見上げる

「…っ///逆効果だっつの
…まあお嬢さんは渡さねえから」

そんなセリフを耳元で呟く龍。
ゾクッとしてしまう自分が恥ずかしく
また顔が赤くなって行く


龍が離れたあとも耳元が熱いままで
慣れない私は戸惑うばかりだった

こんなんでこれから大丈夫かしら……

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