《MUMEI》 翻弄 〜龍〜そんなこんなで気付けば夕方。 はあ…今日は疲れたな… 漸く一人になった自室でさっきから ひたすらボーッとしている 無理もない。 あんなに慕っていたばあやがいなくなり 心配する暇もなく新しい執事。 しかも二人。 しかも男。 しかもイケメン。 別に男性恐怖症ではないが普段から 家柄から品格ある行動をしてきた自分は 男性とまともに付き合った事などない 何気ない毎日に嫌でも緊張感が生まれる しかもよりによって片方はキケンそう。 「…あんな近く………///」 思わず赤くなる自分に嫌気が差したその時 ―――コンコン 唐突で無機質なノック音。 はっと我に帰る。 「どなた?」 「お嬢様――蓮です。 お嬢様はこの時間に御入浴なさると 伺っておりますので… 浴場の準備が整いました。」 「解ったわ。ありがとう。すぐ行くわ」 もうそんな時間か… 慌てて入浴の準備を整える 今までならばあやに手伝ってもらったが 流石に替えの下着などを男性に 触らせる訳にはいかない 「ふう…自立しなきゃね。…ばあや。」 準備を整えてドアを開けると蓮がいる ――――龍は??? 「龍には浴場の準備をさせましたので。 私がお呼びに上がりました。」 不思議そうな顔の私にすかさず説明する やはり蓮はよく気が付く。 感心しながら蓮の後を浴場へ歩く 「ふふっ… 龍が掃除しても汚れ取れてなさそう」 思わず洩らした冗談と笑いに自分でも驚く 私…意外と男性とも喋れるじゃない 「ふふっ…ですがお嬢様、 龍は確かにあのように無骨に見えますが 執事の仕事に関しては妥協致しません 仕事仲間としても兄としても それは私が保証致しますよ」 優しく微笑みかける蓮の横顔に 思わずドキッとする 本当に綺麗ででも儚げな端正な顔立ち… ――サッサッサッ――― 何だかそれ以上言葉が繋げなくなり ただ無言で歩く二人 あっという間に浴場に着いた 「ではお嬢様、私はこちらで入り口を 見ておきますので―― 行ってらっしゃいませ。」 ニコリと微笑む蓮にドキッとしながらも こちらも微笑み返して浴場に入った 前へ |次へ |
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