《MUMEI》
▽生徒会 が 仲間に なった ! _1
この学園での生活にも慣れてきて、余裕が出てきたある日のこと。

星詠み科は他から見て異色なのか、教室に遊びに来る人は少ない。梓がいる宇宙科はいつも賑やかで、此処にいると少し羨ましくなる。
とはいえ、梓と翼が何度も宇宙科に連れていってくれてる(連行する、のほうが正しいかもしれない)から、宇宙科にも友達が出来た。彼らが口を揃えて言うのは、

『星詠み科の生徒って案外普通なんだな。』


…いや、そうでも無いかも知れない。
力の強い生徒には神楽坂先輩みたいな人が多いし、昔から人に遠ざけられてきた影響で無口な人も少なくない。俺みたいに普通にやっていける生徒は少ないかもしれない。(俺も多分普通じゃない)
まともな人と言えば……


「樒!居るか?」

「…この人くらいかな。」
「ん、何か言ったか?」
「いえ、何でも。」

不知火先輩。この学園の生徒会長で、星詠み科。

この人が普通の基準…っていうのもおかしいけど、この人位しか見当たらない。


「樒、放課後空いてるか?」

「放課後…?空いてますけど……。」

「お。じゃあ、放課後に生徒会室まで来てくれないか?」


え、俺、何かしたかな……。

別に不知火先輩に呼び出されて他愛もない話で盛り上がる事は多々あるし、生徒会室でお茶を貰うことだってある。
でも、今までとは明らかに雰囲気が違う。少し緊張感を含ませて、意味深にかしこまっていた。


「わかりました。」

俺が答えると、彼は表情を緩めて肩の力を抜いた。
何があるのか気になるけれど、今星詠みに意識を集中させて未来を詠んでも面白くない気がして、会話を優先した。

「絶対来いよー?」
「俺が来なかったことありましたっけ?」
「いや、ないな。」
「じゃあなんで言ったんですか(笑)」

この先で俺の運命(?)が変わるなんて、この時は思いもしなかった。

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