《MUMEI》

その電話は、父さんからだった。

「もしもし?」

またパーティーの話か…と思い、桐生の許可を得て電話しだす。

「やあ晴、男子校生活は順調か?」

「当たり前じゃん、僕は欲望には忠実だからね。…で?またパーティーの話で電話したんでしょ?日時は?」

「あ〜…確かにパーティーの話なんだが、今回はちょっと違うんだな〜」

(違う?どういうこと?)

「家族だけの立食パーティーなんだが、母さんが『晴が友達をつくれているか心配…』て呟いてたからさ〜…学校で知り合った子を何人か連れてくるよーに!!そしたら母さんも安心するし」

(はあ!?友達を連れてこいだあ!?)

有無を言わせないと言わんばかりに、電話がきれていた。…母さんが心配してるのは容易に想像できたが、何故友達を連れてこいと言ったのか…

(…こうなってしまったものは仕方ない…誰を連れて行こう?)

「おい、電話終わったか?またパーティーの話かよ、ビックリするなぁ」

…その時、何故か私の目の前にいる桐生が カモに見えていた。私は桐生の手を掴み、

「頼みたいことがある…!!」

と、真剣に言ってしまっていた……

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