《MUMEI》 不幸、かもしれない…私がそう聞いたら、神様は少し悲しげに歪んだ顔をして言った。 「それが、あなたが拾った落とし物が見つからなくて問題になってるんです。その落とし物、神界にとっては大事なものらしくて…多分しばらくは、上の神々があなたが帰ることを許さないでしょう」 「え…帰れないの!?」 (困ったなあ…) 家に帰れない…ていうことは、今、私が元々いた人間界では大騒ぎになっているに違いない。何せ、私の母は心配性だ…ちょっと帰りが遅くなっただけで警察に連絡してしまうほど… 「何とかなんないの!?滝芽…様」 一応神様なので、様はつけておく。 「まあまあ、そんなに焦っても良いことはありませんよ〜。ここは落ち着きましょう」 困った顔で助けを求める私を無視するかのように、のほほん神様はまたお茶をいれていた。 (どんだけまったりマイペースなら気が済むんだ!!) 「どうぞ〜」 滝芽様は私の目の前にお茶を出してくれたが… そのお茶の色は、明らかに飲んだらヤバイと確信させる、赤黒いどろどろの液体だった。 「こんなもの飲めるか!!」 「え〜?おいしいですよ?」 「人間界で言うお茶とはかけ離れてるわ!!」 「そんなことないですよ?この前人間界に遊びに行ったら同じ色の大人っぽい味のお茶が出されましたし」 「どこのバーだよ!?そしてそれは多分ワインのことだよ!!」 前へ |次へ |
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