《MUMEI》

「うわぁ…デケェな、橘の家って」

「…まあ…他人からすりゃあデカイわな、僕の家は…」

放課後、僕と桐生は橘家本邸に来ていた。桐生にちゃんと事情を説明したら快く引き受けてくれた。

「しっかし…橘の母さんは心配性だなぁ〜!昔からなのか?」

「ああ、そうなんだよ…もしかすると、昔から友達がいなかったからなのかな?割と独りぼっち好きだし、気にしてなかったけど」


「お前…昔からぼっちだったタイプか…」

憐れむような桐生の顔を見て、無性にイラッとしたがここはぐっと堪えよう…

「おかえり、晴。」

出迎えたのは父さんだった。いつものスーツ姿ではなく、極めてラフな格好をしている。

「ただいま。こいつは友達の桐生。」

「あ…どーも、桐生です。おじゃまします」

「そんな堅苦しい挨拶は抜きにして、さあさあ上がって!歓迎するよ〜」

今日の父さんは何故か機嫌が良い。理由は私にはわからなかった。


「あらあら〜!初めて友達連れて来たわね〜晴!」

リビングにつくと、父さんと同じく上機嫌な母さんが目に入った。私と桐生が隣同士の席に座ると、向かいの席に両親が座った。テーブルの上には既に料理が並んでいて、すぐに会食…もとい、家族(+1人)パーティーが開かれた。


「学校では、どう?」

「どうって…いつもどおりだけど。」

そっけなく母さんの問いに答える。

「そう〜、いつもどおり元気なら良いわ〜」

そういう感じで、何気無い話を続けていた。桐生も混ざって、いつもより会話が弾んでいた。

「ふ〜、ごちそうさま」

会食が終わりに近付いてきたころ、父さんが桐生にとんでもない質問をした。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫