《MUMEI》
ジョーカーと銃
番人と顔合わせした日から二日が経過した。ジョーカーは訝しげな顔をして、着ているコートのポケットを見つめていた。

「やっぱり、この銃が私から離れることはないか」

コートのポケットの中には、番人が取り上げたはずの銃が入っていた。それを手にして、ジョーカーは独り言のように呟いた。

「また…誰かを殺さなきゃいけないのか…」

すっくと立ち上がり、ジョーカーは狙いを定めた。

「ここから一番近いマフィアは…フェルか」

ビルの上に立っているジョーカーの髪を、強い風が大きく揺らす。そしてジョーカーは、マフィア・フェルの連中がいるアジトまで走っていった。


だが、ジョーカーがフェルのアジトについたとき、突然警報が鳴った。何事かと思いジョーカーはその場を離れようとするが、一足先にジョーカーの前に誰かが立ちはだかっていた。

「◯◯県警だ!!おとなしくその銃を捨てなさい!!」

ジョーカーの前に立っていたのは、20年前にマフィア達に壊滅された警察の残党だった。今はこの世に警察という存在はなく、ごくわずかな警察の生き残りが民の為に協力しあってマフィア達を殲滅しようと奮闘しているらしいのだ。おそらく、手に銃を持っているため、ジョーカーがマフィアの仲間だと思われたのだろう。ジョーカーは、一端その場を離れてからまた出直すことにした。


「チッ…邪魔が入ったか」

「あっ!!待ちなさい!!」

華麗に颯爽と走り去るジョーカーを追いかけるが、男はジョーカーを見失った。

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