《MUMEI》

ジョーカーが草むらで野宿している一方、番人はジョーカーのこと、ジョーカーが持っていた銃のことを調べてまわっていた。

「さぁて、まずはジョーカーの身元を調べるかな。といっても、どこから手をつけよう?」

番人は考えた挙げ句、ある場所に足を運ぶ。

そこは…かつてジョーカーが殲滅したマフィアの元アジト。今はその元マフィアが住んでる住所だ。噂によれば元マフィア達は、ただ静かに暮らす一般人になっているという。

「何の手がかりもないだろうけど…まあ行ってみるかな〜」

そして番人は元マフィア達のアジト…いや、家に行き扉をノックした。

コンコン…


しばらく経ってから扉は開いた。

「どちら様ですか?」

出てきたのは、かつてマフィアに所属していたということを忘れてしまうほどの温厚な老人だった。

だが、番人の顔を見た瞬間、老人の顔は一変した。


「あなた様は…!」


どうやら、老人は番人のことを知っていたらしい。
面識は無くとも、さすが元マフィア…番人の情報は届いているらしかった。


「どのようなご用件でこちらに…?」

番人の顔色を伺いながら聞いてくる老人に対して、番人はいつものおちゃらけた口調で事情を話す。

「君達にさぁ〜、ある人物のことでちょ〜っと情報提供してほしくてね〜」

「ある人物…?」

首を傾げる老人に、唐突にその人物の名を口にした。

「そ、ジョーカーのことでね〜」

「じょ…ジョーカー!?」


老人の脳裏には、かつての無惨な光景が映像として流れた。


血の赤に染まった仲間の遺体の数々

その場に佇む一人の少女

若かりし老人に向けられる銃口

死のふちまで追い詰められ、やがて少女は姿を消す


「思い出したくない…思い出したくない!!」


頭を抱えてしまった老人

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