《MUMEI》 どうやら桐生は、先日おば様に「橘さんの彼氏?」と言われたことは頭の中から消え去っているらしい。 元々忘れやすいトリ頭だったことを私は思いだした。 (忘れてくれて良かった…) 「なんだ?その服…」 私がホッとして油断しているときに、桐生が、私が持っていた店員の制服を見て首を傾げている。 それを見て私は自分が持っていた服が女の制服だということを思い出し、慌てて隠しその場を退散した。 (あっ…ぶねー…) この店は自分が通っている学校から多少の距離があるため知り合いは来ないと思ってたが… 油断してしまった。 そして私は店長にお願いして男の店員の制服を貸して貰った。 そして…現状。 瞬く間に顔見知りな人々が店内に入って来た。 「いらっしゃいませー!」 (まさか、こんなところでまで男の格好するなんて…) 接客しながらそう考えていると、他の店員が注文を受け取った三番テーブルから呼び出しをくらった。 何事かと思いつつ、私は三番テーブルに向かった。すると、そこにはよく見知った奴が座っていた。 「…あ、やっぱり橘だ」 「お前…彩原!?」 お忘れの方もいるだろうから改めて紹介しよう。 こいつは彩原崇(さいばらたかし)といって、金髪メガネの超絶イケメンだ。 少し前まで、私と桐生がケンカしてるのを仲裁してくれていたお人好しな奴。 私達二人が仲良くしだしてからと言うもの、あまり話さなくなったが… 前へ |次へ |
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