《MUMEI》

「高科が嘘をついていることに俺は気がついた。だが俺と同じように高科自信もこの発言がまずかったと気付いてるようだな。だから機械についての話になるといつも以上に神経質に返答してくる。

それは今日の調査でも分かっただろ」

「そうですね、そう言われればそうかも知れません」

「そして高科が書いたと言ったあの漫画、あれは高科が書いたものじゃないだろう。おそらくこの事件を起こした犯人が書いたものだろう。これは推測だが」

「私の質問にすぐ答えれなかったのはそういうことですね。
でも………私が言うのもなんですけど、誰も高科の嘘に気がつかなかったってのはあまり納得できません」

「それは………この事件が完全犯罪を目差したような事件じゃないからだろ」

「えっ?どういうことですか」

「犯人が分からないと言う状況ならどんな些細な事柄も見逃さないようにするだろう。
だが、今回は犯人(高科だから犯人ではないが)が事件発生から3日後に自首して来た。
そして犯人しか知り得ない犯行当時の状況を喋った。そうすれば犯人は高科だ、と決め付けることはそんなに不自然なことじゃない。
犯行をしたことを隠すより、犯行をした人間を庇う方が難易度は格段に下がるからな」

「犯人から聞いただけで犯行時の状況を細かく説明出来るものなんですかね。山本さんが矛盾点を見つけたようにもっとボロが出てもいいと思いますけど」

「ボロを出さない為に高科もいろいろと工夫した。例えば事件発生から2日後に現場に戻り、死体をぐちゃぐちゃにした。
高科が犯人じゃないなら、これに目的があるはずだと推測出来るだろ」

「ん〜〜っと。掃除機の中に入っていた物を取り除いたったやつですよね。
ちゃんと掃除機で殺したかどうかを確認したってことですか」

「違う違う、……まぁそういう目的もあるかもしれないが1番はそれじゃない」

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