《MUMEI》
妖狐村へようこそ
ここは妖狐村。

人間界と妖界の間にある小さな村。


そこで、私・好音は元気に暮らしています。



「また人間界に行くのか、好音!!」

「うん、健志と待ち合わせしてるもん!じゃ、行ってきまーす!」


健志というのは私が仲良くしてる人間で、ちょっと前まではワケあって妖狐村に居座ってたのだけれど、わだかまりもなくなって、今では以前と同じく人間界で暮らしている。


大事な友達なんだけど…



最近健志に対して変な動機がする。


一緒にいるとドキドキしたり、
離れていると寂しくなったり…


おまけに言うと、健志も最近スキンシップが激しくなっているのも原因かもしれない。


「はあ…」


訳のわからない感情に振り回されてため息がでてもやっぱり健志に会いたいのは事実なわけで、




「おはよう、健志!って言っても、もう夕方だけど…」

「あ、好音!昨日ぶりだね!!」



こうして健志に会いに来てしまったりするのである


「会いたかったよ好音」


と、私が独りプロローグをしている時でも
平気で抱きついてくる。


「ちょっ…健志!?」


私は思わず頬を赤らめてしまった。そしてその拍子に変化の術が解け、狐の耳と尻尾がぴょこんとでてしまった。


「あっ……」

「耳と尻尾でちゃってるよ、好音?…そんなに動揺したの?」


クスッと笑いながらずっと私を抱く健志。


「あのおねえさん、おっきな耳だー!」

「尻尾もあるねぇ。」

「何々?コスプレ?」



(あっ……しまった!)


ここは人間界。
私の今の格好はかなり目立つことに気付いた。
私は健志をひっぺがし、健志の手を引いて人気のないところに移動した。

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