《MUMEI》
始まり
パーティーも終盤にさしかかり、最初はみんな盛り上がっていたがだんだんと酔ってきた人もいる様だ。
佐山さんがベロベロに酔っ払った速水さんをイスに座らそうと運んであげていた。
すると速水さんと菜々は目があった。
今度はすぐには目をそらさなかった。
すると佐山さんが菜々の方に近付いてきた。菜々は驚いた。まさか近付いてくるなんて思いもよらなかったからだ。佐山さんが
「楽しんでいる?」
「はぃ…楽しいです」 やはり佐山さんに対しての警戒心はとれていない様だ。
「あのさ…澤木さん君が一番最初にバイトに来た時にあんな事をして済まなかった。」
菜々は「え?」と思った。佐山さんが謝ってくるなんて…。
「あんな事って、お皿の件ですか?」「ああ…」「今更謝られても、私すごい傷ついたんですよ!もっとはやく言ってくださいよ!」
菜々は怒りが止らない。「確かに俺が悪かった!でも皿を割ったのにはちゃんと理由があったんだ。」
「理由って何ですか?」「…あの皿は店長の物なんだ…」「え?」 「悪いけど、これ以上は言えないんだ。でもあの皿は割らなければならない物だったんだ!」
意味が分からない。
「なんで言えないんですか?それじゃ信用出来ないじゃないですか!」

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