《MUMEI》

私も改めて帰る準備をしだす。



確かに後悔はあったが、不思議と、その時には鉛みたいな感覚はなくなっていて、むしろとても良い気分だった。


「まあ、友達ができたぐらいじゃ面倒事なんてたいしたものでもないわよね」



そう言って、私は小走りに教室を出て自分のクラスのすぐそばにある階段をおりる。


(さて、今日観察した人の特徴を新たにノートに書き込んでおかなきゃ!!)



その日観察した人の特徴や秘密等々を、家に置いてある人間観察ノートに忘れないように書き込むのが、私の日課だ。


(さて、戸田くんとのことは忘れて、今は観察ノートっ!!)



下駄箱に上履きを押し入れて、外用の靴に履き替える。そして校門を潜り抜けたとたん、私は家までの道のりを一直線に走っていた。



だが、帰りが遅くなってでも戸田くんとは関わらない方が良かったかもしれない……と、後になって後悔しだすのは





もう少し後のことだった

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