《MUMEI》

ずっと独りだった私にとって、友達というものは初めてで……


「ん?じゃあ彩原も友達なのか…?」


友達 という境界線がわからない。



まあ、向こうが勝手に怒ってたとはいえ、ケンカしたことには変わりないし、次会ったときにちゃんと謝らないとな…








さて、それはさておき…




桐生とは友達…
それは自覚したが、
自覚したらしたでどう接すれば良いんだ?


今まで通りで良いのか?

………わからん!!




私が考えあぐねいていると、突然机の上に置いてある携帯から電話の着信音が聞こえてきた。


開いてみると、見知らぬ番号が書かれていた。



おそるおそる出てみると




「あ…よう、橘」


「桐生…?」



この声は確かに桐生だったが……

桐生には…というか、学校の人には誰にも電話番号を教えていない。



つまり、私の携帯に桐生から電話がくることはあり得ない。


「なんで僕の番号知ってんの!?」

「ああ、橘の親父さんが教えてくれたんだけど…駄目だったか?」



その言葉で私は脱力した


(あのクソ親父…!!)



勝手に番号を教えたことに対しては怒りを覚えたが、後悔しても遅いため、何も言うことがなかった。


「まあいいや…で、何の用でかけてきたの?」

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