《MUMEI》
次の日
戸田くんと友達になった日(仮)から1日経過。


私は家を出て、学校までの短い距離をぽつぽつと歩いていた。



「さぁて、今日は誰を観察しようかな…」


学校に着くころには、いつもと同じように人間観察のことで頭の中は埋め尽くされていた。





予鈴が鳴る少し前に私は教室についていた…しかし、戸田くんの様子が微妙におかしかったのに気付けなかったのは盲点だった。



ガラッ



教室のドアを開いても、誰も私を気に留めない。
ここまではいつも通りだ


だけど次の瞬間……



「おはよう花崎さん!」




(えっ…?)



私に挨拶したの?
と思ったのも束の間、戸田くんがいつの間にか私の真ん前に立っていたのに気付いた。


「どうした?そんなにビックリして」



そりゃビックリするわよ


今までガン無視されてたのにいきなり話かけられたら……


「…目立つから止めてくれない?」


戸田くんは学校ではフレンドリーな男の子で通ってるからあまり気にも留められないでしょうけど…私、今までこのクラスで話すことってなかったし……

だからか、いじめられて撃退する以外で毒舌ではなく普通に話す私を新鮮だなぁ…という目で見る人が多数いたりするのが現状。


…しまった……
無視すればよかったかしら?でも戸田くんの場合、無視なんかしたらまたウジウジ泣き出しそうでめんどくさそうだわ…



…さてどうしよう。

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